ナナメヨミBlog

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橋下・維新の会はどうなるか

 先日の堺市長選挙で「大阪都構想」をかかげる維新の会の候補者・西林が敗れ、自民・民主が支持・推薦して共産・社民が自主的に支援する保守系無所属の現職・竹山市長が再選を果たした。維新の会の人気は昨年の総選挙をピークに全国的には下降傾向にあったが、地元・大阪では根強い支持があった。それが今回の堺市長選挙で、本拠地・大阪で敗れた、ということで橋下の国政への影響力や党内での求心力低下・都構想の行き詰まりなど、橋下・維新の会は岐路に立たされている。
 今回の選挙の特徴としては、無党派層の維新支持の低下である。これまでは一枚岩となった維新支持層の支持に加えて無党派層の支持によって、選挙での連戦連勝が続いていた。それが、今回の選挙では無党派層は現職支持が7割近くに上った。これをどう読み解くか?
 橋下自身が選挙後に語っていたが「維新が既成政党」になったということである。付け加えると、橋下本人も既得権益側の立場になったということがある。「旧来の慣行、利権を打破する改革派」として自民から共産までの「既成政党」支持層や無党派層に支持された橋下だったが、最近では公募校長・区長の不祥事を擁護する姿勢を見せるようになり、市民目線というより「権力者の目線」で物事を語ることが多くなってきた。大阪市での市民サービス切り捨て問題(赤バス廃止・幼稚園民営化など)もあり、「市民の立場」から徐々に離れてきた、そこを無党派層が汲み取ったことで維新離れがおこった。
 ここから維新が盛り返すには「大阪都構想」で市民に分かりやすい成果を示すことだが、財政改善の効果が怪しく、市民サービスの削減を誇るようでは無党派層の支持はますます離れるだろう。
 さらにもう一つ。今回の選挙では無党派層の支持が少なかったのに対して「維新支持層」の支持は盤石だったということだ。自民や民主、共産の支持層には現職不支持が一定混じっていたのに対して、維新支持層はほぼ維新候補を支持していた。このことが意味するのは維新支持者の「橋下・維新への忠誠度の高さ」である。無党派層の人気が下降気味の今、橋下・維新は支持基盤をより固めるために忠誠度の高い維新支持層の意向を優先せざるをえなくなる。「過剰なネオリベ指向」「ナショナリズムイデオロギー色の強さ」「公務員敵視、トップによる過剰な職員・教員統制」「強権的・議会軽視の政治手法」という過激な政治手法がますます先鋭化するだろう。組織・資金を支える一部の支持者(後援会員や支持者の地元有力企業)の意向をますます重視するようになるだろう。「内を固める」防戦に転じた結果、「外」の人(無党派層やライトな支持層)は置いてきぼりにされ、「維新支持層という一部の人たちのための政治」に成り果てるのではないだろうか。そうなれば無党派層の支持はさらに離れるだろう。

 とはいえ、安倍自民党の失速、外交緊張によるナショナリズムの高まりなどで維新が支持を盛り返す可能性もあるが、大阪で盤石な支持があってこその橋下・維新。「大阪で何か凄い改革をやっている」ということで全国的に支持されたが、「大阪での改革に行き詰まり、市民からも見放されている」となれば、どんな情勢になっても維新の会が選択肢に入ることは無い。これからは「維新の会のデタラメ、市民軽視、矛盾」を徹底的に追及して、「本当に大阪をよくするには何が必要か」を市民が冷静に判断することが大切になる。