ナナメヨミBlog

旧ナナメヨミ日記。Blogに移行しました。

経済・教育問題のメモ

 社会の在り方を考えると、経済の問題に行きつく。経済問題とは大まかにとらえれば、生産(労働)と消費(生活)の在り様をめぐる問題になる。


封建社会の経済活動・・・農村共同体内部での生産と消費。自給自足。非商品生産。
市場経済の経済活動・・・企業・工場で特定の商品の集中的生産で賃金を得る。賃金で多種多様な商品を購入。商品生産。
 生産と消費が市場を媒介して行われることで、生産性が向上して物質的に豊かになり、多種多様な商品が供給されることで需要を喚起する。市場経済が高度化すると、生産と消費の相互作用によって経済活動がさらに活発になる。

 現代市場経済における問題とは、生産と消費のアンバランス・・・個人単位でみれば労働と消費のアンバランス・・・である。市場経済では、市場(貨幣)を媒介にして経済構造はつねに変化する。その変化の軋みがさまざまな問題を生み出す。市場が変化を促しても、個人の能力や生活を急速に変化させることは難しい。そのミスマッチが社会・個人にとって問題になる。経済構造と個人のミスマッチをどうやって調和させるか。その解決策として教育がある。新しい時代の経済構造にマッチした人間を教育して社会に送り出すことで経済活動をスムーズにする。

 教育に求められるのは、新しい時代の経済構造・・・そこから派生する社会関係・・・に適応した人間の育成。そこから、教育のニーズは子どもを送り出す側と受け入れる側で枝分かれする。


教育のニーズ
 送り出す側(家庭)・・・子どもの立身出世。身を立てる(食いはぐれない)ことが第一。
 受け入れる側(企業・地域社会)・・・共同体の活動にとって有用な人材の育成。共同体の維持・発展が第一。

 エレクトロニクス産業の企業は最先端の研究開発を担う研究者の育成を望み、グローバル展開する商社は海外で活躍できる語学力・交渉力を持つ人材を求める。町工場は技能を習得できる理解力と真面目さ、忍耐力のある人を雇いたい、ホテルならお客のニーズにきめ細やかに対応できる、おもてなしの心をもてる人が欲しい。受け入れる側の求めるものは、その産業や企業、共同体によって多種多様だ。

 これらのニーズに共通する下地の部分を育て、さらに多種多様な能力の育成にも対応するのが教育の役割だ。多種多様な業種・職種はもとめられる能力のレベルが違うために、待遇も異なる。子どもを送り出す側はなるべく、待遇の良い・食いはぐれない仕事につくことを求める。だから親は子どもによりよい(高い能力を形成する)教育を求める。そのため、教育の前提には機会均等がないと親も本人も能力の格差・・・その先にある待遇の格差・・・を受け入れることができない。社会をスムーズに機能させるには、さまざまな社会的役割を人々がなるべく納得した上で分担することが必要になる。人材ニーズの充足(子どもの社会的適応)と機会均等。その両立が教育の中心的課題である。これらは経済活動に限定した教育問題だが、非経済活動(地域社会・親族家族関係・文化活動)に視野を拡げて教育の在り方を考えることも必要だ。


 教育問題は個人の経験・価値観を拠り所に誰でも何かしら語れる。社会的な立場によって教育に求めるものは多種多様だ。教育問題を議論すると、焦点がぼやけてなかなかまとまらない。議論の土台をつくったうえで、踏み込んで考えていきたい。