ナナメヨミBlog

旧ナナメヨミ日記。Blogに移行しました。

日中問題の落とし穴

 私のブログはある程度まとまった考えが出来たときに長文を書くスタイルです。なので、ちょっと思いついたことを書くにはハードルが高くて、更新がとどこおりがちです。これからは気軽に、短い文章でもいいので書いていきます。

 日中問題について。アメリカの日本の軍事力に対する態度には二つある。ひとつは、「アメリカ軍の肩代わり・補助的な戦力として活用したい。そのためには、軍事行動を制約する憲法は変えてもらいたい」。もうひとつは「日本は第二次大戦時のアメリカの敵国。日本が軍事的に自主独立路線を取ることは中国との武力衝突のリスクにもなり、アメリカの国益を侵害する恐れもある」。一方で、中国に対しても、「中国と友好な関係を保って、中国市場でのアメリカ企業の利益を確保したい」という考えと「中国という超大国が台頭するとアメリカのプレゼンスが後退するから、中国の影響力を抑えたい」という二つの態度がある。この日中に対する微妙な距離感、そして日中を分断することでアメリカの国益を最大化したいという考え、これが日中問題をこじらせている。日中双方が「我々の背後にはアメリカが付いている」と考えながら、言動をヒートアップしてナショナリズムを煽る状況は危険である。「中国と張り合うための憲法改定」の行き着く先は「日本核武装」でしかありえない。
 いま、安倍や石破ら保守系政治家は中国を仮想敵国に仕立てて「憲法改正」を訴えては人気を集めている。この調子で憲法を変えるのなら、「中国と張り合う軍事力の確保」が次に問題となる。そうなれば「中国は核兵器保有するが、日本は持っていない」というのは見過せなくなる。国民のあいだから「核武装しないかぎり、中国の侵略から日本は守れない」という声がつぎつぎと上がるのは間違いない。しかし「東アジアでドミノ的に核拡散が進む」状況を歓迎する国はほとんどない。憲法を変えるのなら、「アメリカのための軍事制約撤廃」という本来の目的を堂々と掲げるべきである。「憲法改正」のためなら、反中ナショナリズムをいくらでも煽っても良いとばかりに政治家は行動しているが、その先に有るのは過激化した国民が、政治家を突き上げて、日中の衝突・戦争へとすすむ姿である。

 いま、日本で語られる中国とは…
・「尖閣を侵略し日本を不当に貶める、無法国家」だと批判する右翼
・「環境・人権問題、民主主義ではない、貧富の格差、堕落した社会主義国家」と批判する左翼・リベラル派
左右いずれも、「日本サイドの基準で」「レッテルを貼って」中国という国を軽蔑している点で共通している。左右が一致して批判するほど酷い国だ、ともいえるが左右双方が同じように批判するせいで、お互いが中国について分かった気になって、「中国という国の動き・考えを正確に把握しよう」という視点が完全に欠落してしまっている。中国とベタベタ仲良くする必要はないが、無理解による誤解で憎しみ合う必要はまったくない。中国との関係をもっと真剣に考えないといけないだろう。