ナナメヨミBlog

旧ナナメヨミ日記。Blogに移行しました。

大阪ダブル選挙の争点とゆくえ

いよいよ大阪ダブル選挙(大阪市長・大阪府知事選挙)がスタートした。大阪市民である私は定期的に大阪維新・橋下政治の問題について取り上げてきたので、ダブル選挙について触れないわけにはいかない。今回の選挙の争点、そして今後の大阪の政治のゆくえに…

大阪経済の活性化をどうするか

大阪ダブル選挙の争点は大阪維新の政治手法、大阪都構想の是非である。一方で大阪経済をどうやって活性化させるかについては、自民・維新両者ともに巨大開発・インフラ整備や国際的イベント(万博やスポーツイベント)を掲げているため、大きな違いがない。…

中野晃一「右傾化する日本政治」

右傾化する日本政治 (岩波新書)作者: 中野晃一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/07/23メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る 今回、紹介するのは中野晃一「右傾化する日本政治」(岩波新書,2015年)です。1980年代以降の日本政治を「新右派…

加藤嘉一・原田曜平「これからの中国の話をしよう」

安保法案は強行採決されてしまい、マスコミは「一億総活躍」「アベノミクス第二章」などと「安保の話はもう終わった。これからは経済だ!」と政権べったりの報道になっています。しかし、安保法案をめぐる問題はまだまだ掘り下げる必要があります。とくに私…

安保法案をめぐる論点の整理とこれから

本日未明(2015年9月19日)、安保法案は参院本会議で可決・成立した。今回の安保法案は日本の自衛隊が海外で活動できる範囲を飛躍的に広げる。憲法9条で認められていない集団的自衛権を解釈改憲という「裏口入学」(憲法学者・小林節)によって可能…

維新はこれからどうなるのか

大阪都構想の住民投票から1ヶ月以上が過ぎました。維新の会はどうなるのか?について記事を書きたかったのですがなかなか考えがまとまりませんでした。住民投票敗北直後の維新は意気消沈、今にも雲散霧消しそうな雰囲気でしたが橋下氏は安倍首相・菅官房長官…

「大阪都構想」住民投票を総括する

久々にブログを更新します。 前回記事「グローバル化時代の政治」で現代の日本政治の枠組み、見取り図を示しました。その後、沖縄知事選、突然の解散総選挙、統一地方選挙と選挙が続き、沖縄での反基地闘争・オール沖縄の選挙での勝利はインパクトがあったも…

グローバル化時代の政治

安倍政権が発足して年末で2年になる。安倍政権のアベノミクス、消費増税路線とは「国民への負担押し付け」政策であるのだが、反対世論が広がることも無く、大企業が儲かって株価が上がることを日本人の多くは自分のことのように喜んでいる。私は前回の記事…

「弱い国民」がいかにして立ち上がるか

安倍政権の支持率は相変わらずの高止まりである。秘密保護法、消費税増税、集団的自衛権容認、安倍政権が押し進める政策すべて世論調査では反対が賛成を上回っている。にもかかわらず、支持率は一時的な下落はあってもまた回復し、5割前後という高い水準に…

大阪人の反骨精神と「維新の会」〜「反権力」の分裂(その2)

なぜ、維新の会が大阪で根強い人気を誇るのか?それは、関西ローカルメディアが垂れ流した「反東京・反中央マスコミ言説」によって生み出された「対象のズレた反骨精神」にうまく橋下・維新の会が乗っかったからである。 元来、大阪は共産党の強い地域であっ…

大阪人の反骨精神と「維新の会」(その1)

このブログでは「維新の会」に関わるテーマを何度も取り上げてきた。私は大阪に生まれ、暮らし、働いている人間だから、「維新人気」という現象には注目せざるを得ないし、右傾化が叫ばれる昨今、「維新人気」がどういう意味を持つのか冷静に分析することは…

日中問題の落とし穴

私のブログはある程度まとまった考えが出来たときに長文を書くスタイルです。なので、ちょっと思いついたことを書くにはハードルが高くて、更新がとどこおりがちです。これからは気軽に、短い文章でもいいので書いていきます。 日中問題について。アメリカの…

2013年のベスト本

もう少しで2013年も終わりです。今年はいろいろ読書を重ねて勉強する一年になるはずだったんですが、精神的に参ってしまっていた面もあって、勉強がはかどりませんでした。いろいろと興味をもって本を手に入れてもなかなか読み進められない、やる気が出てこ…

小泉元首相「原発ゼロ」提言を考える

1ヶ月ぶりの更新になった。 この間、政治報道は秘密保護法一色になっていた。秘密保護法の狙い・危険性などについてはさんざん報道されていて論点も拡散して分かりづらくなっているが、元外務省局長・孫崎享氏のインタビュー記事(http://zasshi.news.yahoo…

私のパソコン遍歴

最近、部屋の掃除をしていると、昔のパソコン関係のパーツやらサプライがいろいろ出てきて懐かしい気分になっているので、私のパソコン遍歴を振り返ってみたい。1992.12 FM-TOWNS2 HR20 はじめて買ってもらったパソコン。当時小学生によくこんな高額なマシン…

橋下・維新の会はどうなるか

先日の堺市長選挙で「大阪都構想」をかかげる維新の会の候補者・西林が敗れ、自民・民主が支持・推薦して共産・社民が自主的に支援する保守系無所属の現職・竹山市長が再選を果たした。維新の会の人気は昨年の総選挙をピークに全国的には下降傾向にあったが…

消費税増税は中止すべきです〜「企業支援」の経済政策から「国民支援」への転換を!

10月1日、安倍首相は2014年4月からの消費税8%への増税を表明した。そして、同時に5兆円規模の経済対策の実施も発表した。その経済対策の中身は「復興特別法人税の前倒し廃止」「投資減税」「給料増の法人への法人税減税」「大型公共事業」「低所得者への簡…

いま、大阪に必要なこと

堺市長選挙が告示された。「大阪都構想」賛成の維新・西林と反対の現職・竹山市長の一騎打ちだ。橋下が政治の世界に進出して、維新結成(2010年)以来、大阪の政治テーマの中心は「大阪の行政機構」問題、「大阪都構想」の是非になっている。橋下が語る大阪…

「後ろ向き」な東京オリンピック

2020年のオリンピック開催都市が東京に決まった。招致レース終盤には福島第一原発の汚染水問題がクローズアップされて不利かとも言われていたが、蓋を開ければマドリード・イスタンブールに大差をつけての勝利だった。マスメディアは「オリンピック利権」も…

参院選総括メモ

追記・自民党安倍政権は高支持率をキープしているにも関わらず比例票は1800万票にとどまる。投票率は52%。無党派層というのは「保守政治の利益分配ネットワーク」から漏れている人たちなので、自民党を積極的に支持する強い動機が無い限り、わざわざ自民党…

参院選総括3〜新たな対立軸を求めて

・前回、前々回の続きです。 参院選から2週間たって、臨時国会も始まりましたが、総括続けます。 共産党と社民党、おなじような主張なのに明暗が分かれた。 社民党衰退の要因は「政権入りによる変節・有力議員の離党・弱体化」にある。以前、細川連立政権〜…

参院選総括2〜第三極の行く末

・前回の記事の続きです。 維新の会の伸び悩みをどう見るか。マスメディアは「慰安婦発言」による人気低下と言っているが、本質的にはべつの問題がある。それは、維新の会は自民党と政策・方向性の違いの無い「自民別働隊」であるために、国会活動において存…

参院選総括〜「二大政党」の終焉

ネット選挙が解禁された今回の参院選。 投票日までの選挙期間中に選挙の争点・政治の方向性についてまとめあげたかったのだが、時間がなかった。なので、選挙結果の総括と今後の政治のゆくえについて、考察していきたい。 まずは議席数から 自民 65 民主 17 …

グローバリズムvsナショナリズム? グローバリズム&ナショナリズム?

内田樹さんの書籍やブログ記事は当ブログでよく取り上げていますが、この記事朝日新聞の「オピニオン」欄に寄稿 - 内田樹の研究室には、何度もうなずかされました。 グローバリズムとナショナリズムの問題を取り上げるとき、この二つを対立するものとして捉…

斎藤貴男「安心のファシズム 支配されたがる人々」(岩波新書、2004年)

半年ぶりの更新です。 ここのところブログ記事は政治評論が続いていましたが、自分の意見をだらだら書き連ねるだけになってしまって、少し反省。もっと広い視野で理論的に政治・経済を捉えてみたいと思い、いろいろと読書しているところです。とはいえ、読書…

日本政治のゆくえ

久々の更新になる。 前回更新から4ヶ月、日本政治はめまぐるしく動いた。 ・大飯原発再稼働と市民による反対運動(首相官邸・関電前など)の盛り上がり ・「3党合意」による消費税増税法案の可決・成立 ・小沢一郎グループが民主党離党。「国民の生活が第…

新自由主義の政治勢力を支えるのは誰なのか? 橋下・維新の会の正体。

大阪維新の会・橋下徹を押し上げる力とは何なのか? ひとつは、都市部中間層を主体とする無党派層による「旧保守・革新」憎悪にある。しかし、無党派層の支持は票にはなっても、資金・組織・安定した集票を期待することはできない。大阪維新の会が巨大勢力に…

新保守層の閉塞感と新自由主義改革の「利害の一致」をただせ

小泉〜民主党〜橋下と、「有権者がメディアに流されて支持をコロコロ変えている」かのように指摘する人がいるけど、日本の有権者のマジョリティ(=新保守層)が政治に期待することは一貫している。 地方や業界団体へ利益を誘導する「利益誘導型の保守政治」…

新保守層と橋下・維新の会

前回記事において、現代の日本政治を左右する「新保守層」の政治意識について考察した。都市部のサラリーマン層が中心となる「新保守層」は、地域共同体・業界団体が牛耳る「旧保守」の利益誘導政治、労働組合・組織化された弱者が影響力を行使する革新勢力…

新保守層の時代

旧保守伝統的な地域共同体(農村・漁村・町内会・商店主)を基盤に票とカネを組織して自民党を支援し、政治的影響力を行使。補助金・優遇税制・公共事業による地域振興など。地域共同体を守ることを重視。個人への社会保障・福祉充実よりも公共事業や補助金…